「今日はありがとう。塚原くんに久しぶりに会えて、お話出来て、本当に嬉しかった。じゃ、おやすみ。」
そう言って、手を振ってくれる長谷川に見送られて、俺は帰路に付いた。
長谷川の残り香が薫る車内。俺は黙然と車を走らせた。
(本当に、これでよかったのか?)
そんな自問が湧き上がる。
俺と長谷川は、高3の時にクラスが一緒だった。それだけじゃなく、中学もクラスは違ったけど、一緒の学校だった。ただし、当時の俺は、そのことに気付いていなかった。
中学時代、俺と接触があったのは、彼女じゃなく、彼女の兄貴だった。野球部の1年先輩だった長谷川の兄貴は、こう言っちゃなんだが、嫌な奴で、ポジションが同じピッチャーとして、被っていた俺は、特に目の敵にされた。
俺はその先輩との間で起こったトラブルがもとで、ピッチャーを断念し、キャッチャーに転向した。今の俺が二刀流をやっている原点はここにある。
その兄貴が、急な雨で傘のない妹を高校まで迎えに来て、偶然俺と再会したことが、長谷川と話をするようになるキッカケだった。受験も終わり、高校生活も、本当に残りわずかになった時期だった。
俺が生まれて初めて、「デート」なるものをした時の相手は由夏じゃない。長谷川だ。こんな俺に、告白してくれたのは、今まで長谷川ただ1人だ。
コクられた時は、驚いたけど、でも正直嬉しかった。結構舞い上がって、張り切って、2日続けてデートをした。
だけど・・・その2日間で、俺は自分の由夏への想いを再認識することになった。長谷川と一緒にいるのに、いつの間にか、由夏のことを考えてしまっている自分に気付かされていた。
そう言って、手を振ってくれる長谷川に見送られて、俺は帰路に付いた。
長谷川の残り香が薫る車内。俺は黙然と車を走らせた。
(本当に、これでよかったのか?)
そんな自問が湧き上がる。
俺と長谷川は、高3の時にクラスが一緒だった。それだけじゃなく、中学もクラスは違ったけど、一緒の学校だった。ただし、当時の俺は、そのことに気付いていなかった。
中学時代、俺と接触があったのは、彼女じゃなく、彼女の兄貴だった。野球部の1年先輩だった長谷川の兄貴は、こう言っちゃなんだが、嫌な奴で、ポジションが同じピッチャーとして、被っていた俺は、特に目の敵にされた。
俺はその先輩との間で起こったトラブルがもとで、ピッチャーを断念し、キャッチャーに転向した。今の俺が二刀流をやっている原点はここにある。
その兄貴が、急な雨で傘のない妹を高校まで迎えに来て、偶然俺と再会したことが、長谷川と話をするようになるキッカケだった。受験も終わり、高校生活も、本当に残りわずかになった時期だった。
俺が生まれて初めて、「デート」なるものをした時の相手は由夏じゃない。長谷川だ。こんな俺に、告白してくれたのは、今まで長谷川ただ1人だ。
コクられた時は、驚いたけど、でも正直嬉しかった。結構舞い上がって、張り切って、2日続けてデートをした。
だけど・・・その2日間で、俺は自分の由夏への想いを再認識することになった。長谷川と一緒にいるのに、いつの間にか、由夏のことを考えてしまっている自分に気付かされていた。