それは、思ってもみなかった再会だった。


「覚えててくれたんだ。よかった。」


そんなことを言う長谷川に


「忘れるわけないだろ。」


俺は答える。そうだ、俺が長谷川を忘れるはずがない、忘れられるはずがないんだ。


「ありがとう。」


そう言って、また微笑む長谷川。その笑顔に、俺の心の中に、甘酸っぱくも、何か切なく、重くつかえた思いがよぎる。


「卒業式以来だね、7年ぶりだ。」


「そうか、そうなるな・・・。長谷川はクラス会、1回も来てないもんな。」


「当たり前だよ。わざわざそんなところに行って、あなたと岩武さんのお熱いところ、見せつけられたって、癪だし。」


「長谷川・・・。」


その長谷川の言葉に、俺が思わず、複雑な声を出すと


「冗談よ。たまたま2回とも都合が悪かっただけ。本当だよ。」


そう言って、長谷川は笑う。


「それにしても、塚原くんがプロを目標にしてたのは、知ってたけど、Eに入団決まった時は、やっぱりビックリしたよ。やっぱり縁ってあるんだなぁって。」


「それは俺も思ったよ。」


「二刀流、凄いね。大変だろうけど、頑張ってるから。」


「まぁ、な。」


その長谷川の言葉に、複雑な返事をする俺に


「まぁ、二刀流誕生には、私も全く無関係でもないから、ずっと応援してたよ。」


「そうか・・・ありがとうな。」


「仙台を離れて、もう10年になるけど、私は仙台愛、E愛を忘れてはいませんから。まして、塚原くんが入団してからは、E愛は、更に深化してるんで、1つよろしく。」


そんなことを屈託なく言って来る長谷川に、俺は思わず笑顔になるけど、ふと肝心なことを思い出した。


「なぁ。そう言えば、今日はどうしたんだよ?」


もっと早く聞くべきだったことを、口にした俺に


「うん・・・あのさ、こんなところでずっと立ち話もなんだから、場所変えない?って、私が誘ったら、迷惑かな?」


とやや躊躇いながら聞いてきた長谷川に


「そんなことねぇよ。久しぶりに会ったんだから、こっちからお願いしたいくらいさ。」


と返す。すると、ホッとしたような表情になる長谷川。


「よかった。じゃ、お願いします。」


「ああ。じゃ、乗ってよ。」


俺のその言葉に頷くと、長谷川は助手席に


「失礼します。」


と言って、乗り込んだ。