宴が進むにつれて、親たちは俺達のことなんかそっちのけで、自分達だけで盛り上がり始める。しかし、それはいつものことなので、頃合いを見計らって、俺達は俺の部屋にとっとと退避する。


「聡志!」


部屋に入った途端、飛びつくように俺に抱き着いて来る由夏。もちろん予期していた俺は、しっかりと彼女のぬくもりを受け止める。


「聡志、おめでとう。本当によかったね。」


「ありがとう、由夏。」


そう言って見つめ合ったあと、どちらからともなく唇を重ねる。このところ、忙しくて、デ-トもままならなかった俺達は、夏以来の深くて熱い口づけを交わす。


それは、ずっとしていたいくらいの甘くて幸せなキス。だけど、それはさすがに無理だから、やがてまた、どちらからともなく、名残惜しさを胸に離れる唇。そしてまた見つめ合うと


「聡志、大好き。」


なんて潤んだ瞳で、上目遣いでそんなことを言って来やがるから、瞬間理性が飛んで、また奪うように唇をむさぼり、更に胸元に手を伸ばすと、驚いたように身体を離そうとする。


「バ、バカ、ダメ!あっちにお父さん達いるんだよ。」


「わかってる。だけど、火を付けたお前が悪い。覚悟しろ。」


「さ、聡志・・・。」


そう言い放った俺に、一瞬覚悟したように下を向いたけど


「やっぱりダメだって。お願い、聡志。」


と思い直したように、懸命に言って来る由夏。


「バカ、冗談だよ。」


そこで、そう言ってニヤッと笑ってやると


「聡志・・・意地悪!」


と今度は、ふくれ出す。


「その代わり・・・。」


「えっ?」


「今度のデ-トは覚悟してろよ。」


と言うと


「う、うん・・・。」


と、また顔を真っ赤にして俯きながら、でもコクンと頷く。その仕草も表情もたまらなくて、俺は由夏を抱き寄せると


「どこに行かせないからな。一生、俺と一緒にいるんだ。いいな。」


と言う。すると


「うん。絶対私の手、離さないでよ。約束だからね。」


と答えて、また上目遣い。この世に、こんな可愛い生き物、他にぜってぇにいねぇよ。