激しい夜が明け、眩しい朝がやって来た。


カーテンからのこぼれ陽で、ふっと目を覚ました私は、生まれたままの姿で、聡志の腕の中に抱かれている自分に気付いた。


(昨日はあのまま、寝ちゃったんだ。)


お泊りデートが難しい環境で、付き合って来た私達は、一緒に朝を迎えたことがあまりない。それだけに、聡志の寝顔が目の前にある今の状況は、ちょっと気恥ずかしくも幸せを感じていた。


(聡志・・・。)


私はしばらく、その幸せな思いに浸っていたけど、やがて聡志にそっと口付けると、彼を起こさないように、ベッドを抜け出した。


衣服を整え、顔を洗ってシャキッとしてから、冷蔵庫を覗く。こっちへ来る前に、LINEで指定しておいた食材がちゃんと揃っていることに感心しながら、私は朝食の準備に掛かった。


正直言って、ほぼ使った形跡のないキッチン。鍋やフライパン等の調理器具、それに食器があるのが奇跡的に思えるが、一応自炊に挑戦するつもりで、ホームセンターで店員さんに助けてもらって、揃えたらしい。


その時のドタバタが、容易に想像できて、思わずニヤ付きながら、調理をしてると


「おはよう。」


の声と共に、いきなり後ろから抱き締められた。


「キャッ!」


驚いて、振り向くとそこにはニヤニヤ顔の聡志が・・・。


「バ、バカ、火を使ってるんだよ。」


慌てて聡志の身体を押し返すと


「だって、由夏がそそる姿してるから。」


とニヤニヤしながら言って来るから


「そそるって、ただ朝ごはんの準備してるだけじゃない!」


と言い返すと


「それがそそるんじゃねぇか。」


と言って、いきなり唇を奪って来た。全く予期せぬ事態に、動揺しながら、でも結局は濃厚なキスをたっぷり交わしてしまって・・・。ようやくその状況から解放されて、聡志と目が合って


「早く、顔洗って来て。」


とぶっきらぼうに言ってしまったのは、完全に照れ隠しです、はい・・・。