悠から連絡があったのは、彼女達の結婚式が終わってから、3週間程、経ってからのことだった。


結婚式で、お世話になったお礼がしたいし、あの日はゆっくり話も出来なかったから、三が日の間に1回集まらないかとのお誘いだった。


そう言う話は大歓迎だけど、問題は悠の体調。寒い時期だし、身重の身体で風邪でもひいたらと心配になるけど


「2人目だから、もう勝手もわかってるから大丈夫だよ。安定期に入ってるし、う〜んと暖かくして行くから。」


との力強いお言葉をいただいたので、計画を推進することになった。そして、決まった目的地は浅草寺。初詣を兼ねてということだけど、私達にとっては白鳥先輩を交えて、高校卒業間近に6人で遊びに行った思い出の場所。早いもので、卒業して6年経つ。


舞ちゃんを悠の両親に預けて来た先輩達とは現地待ち合わせ。あの時も、卒業式を間近に控えた時期で、平日にも関わらず、大勢の観光客がいて、驚いたけど、参拝客がずらりと列をなしてる今日は、その比じゃない。


一体いつ雷門をくぐれるのだろうと思うけど、このメンツで集まれば、やっぱりノリは高校生になって、賑やかにおしゃべりに花が咲いて、退屈なんか全くしない。心配していた寒さも、今日は風もなく、割と穏やかに暖かいのも助かる。


やがて、ようやく私達の順番に。昨日も地元の神社にお参りしたけど、初詣は最低三ヶ所にした方がとも聞くし、お願い事は自分のことはもちろん、聡志のこと、家族の健康、そして仕事・・・いっぱいあるからな。


(今年も良い1年になりますように。)


手を合わせて祈る横で、聡志も手を合わせている。きっと今年こその飛躍を祈り、誓っているのだろう。


お参りが終わると、次の目的地に向かって歩き出す。お昼を摂るために、向かった天麩羅屋さんは、6年前にも行って、そのリ-ズナブルなランチは高校生だった私達の懐に優しく、そしてその食欲を十分に満たしてくれた。その店を見つけ出したのは食通(単なる食いしん坊)の悠で、とにかく悠のおいしいお店を探し出す嗅覚には、私はかねて、全幅の信頼を置いている。


「う~ん、久しぶり、楽しみだなぁ~。」


そう言ってニコニコ顔の悠は、お腹がふっくらしてなかったら、まるであの頃の高校生のままだった。