ドラフト会議から、約ひと月後に神宮球場で行われた「明治神宮野球大会」が、TK大野球部員としての、最後の公式戦だった。


試合が行われたのが土曜日だったこともあり、スタンドには由夏や両親、更には高校時代のチームメイトなんかが何人も応援に駆け付けてくれた。


なんとかいいところを見せたかったのだが、エース大澤がこの日は乱調で、4-8で初戦敗退。俺はキャッチャーとして、大学最後の試合を終えた。


試合後、寮に戻るバスの中で、いつもは特に敗戦のあとは厳しいことばかりを言っていた監督が


「4年生は、これで卒業になる。お前達にとっては、俺はただの小煩いオッサンだったろうが、俺はお前達からたくさんのいい思い出と勝利の栄光をもらった。心から礼を言わせてもらう。そして4年間、お疲れさまでした。」


なんて言ってくれるから、結構マジ泣きしてしまった。


そして帰ったあとは寮の食堂で打ち上げ会。ここではさっきのバスの中でのしんみり、おセンチムードなんか、かけらもなく、とにかく大スパーク。


普段は厳しい寮則で律せられてるけど、この日ばかりは、よっぽどのことがなければ、大目に見られる。


OB会や保護者会からの差し入れでアルコールもふんだんに、そして料理も普段のそれとはまるで違う豪勢なもの。


俺達はとにかく痛飲し、そして食べまくった。


その宴は、夜遅く・・・いや明け方まで続いた。結果寮内には、つい昨日までの威厳は何処へやら。だらしなく酔い潰れて、あちこちに死屍累々とも言える惨状をさらした最高学年のお歴々が・・・。


後輩達すまん。飛ぶ鳥、あとを濁してしまって。でもこれ、毎年の恒例行事、伝統(?)だから、勘弁してくれ。