「萌…」



懐かしい声



私は立ち上がり樹の側に行った



「樹…」



「萌…ごめんな
君に苦労させたね
子どもがいたんだ⁇俺達の子どもが…」



樹は涙を流していた



「うん 結婚式が終わったら
報告するつもりだった…だけど…
ごめんなさい…」



「謝る事じゃない
大切な命を失わせてしまった…
ごめんな 萌」




「樹…」



私は社長の方を向いて言った



「社長…なぜ桃李を探していたんですか⁇」



「それは樹と桃李くんと一緒に
暮らしたかったから
ずっと探していたのに見つからず
そんな時君が偶然うちに入ってきた
履歴書を見てびっくりしたよ
だからあの日視察と言って君に近づいた
まさか君が山口の息子と付き合って
いたなんて…皮肉な運命だよ
だから俺はそれを利用しようと思った
だけど彼が君を返して欲しいと
俺を訪ねてくるとは…
何かしてくると警戒をして君を監視
していたんだ
だが私の事を調べているとは…
ただ私は桃李くんを樹の側に…
三人で暮らせたらよかった
桃李くんには君が待ってると言って
秘書に連れて来させた
まさか桃李くんが彼に連絡していたとは」



「晃一さん…
もしかしてあの時電話した時は
知ってたんですか⁇



「萌…すまない
桃李くんからメールをもらって
ちょうど社長と君が一緒だと聞いたから
調べるフリをしてここに来た
そして樹さんの存在を知った
すぐにご両親にも連絡をした
樹さんも萌に会いたがっていたから
これがチャンスだと思った
飯塚社長に電話をしたんだ
萌と一緒に来て欲しいと」



晃一さんは社長に



「飯塚社長
謝って下さい
貴方の身勝手な行動がみんなの人生
を狂わしたんです
愛した人に愛されるのは奇跡です
男女の愛もそうです
実らないからって人の人生を
壊すのは間違ってます」




晃一さんの言葉には力がこもっていた