「突然すみません」



「いえ」



「大倉さん
武田 樹を知っていますよね⁇」



私は倒れそうになった




武田 樹




それはかつて私が愛した人




そして私と桃李を置いて失踪した人




「どうして⁇」




「樹は俺の幼馴染でした
君の事も樹から聞いてました
写真を見たことあったからわかりました」




「じゃあ失踪の事も…⁇」




「あ〜樹の両親に聞きました」




「そうですか…
私の中では終わりました
あの日失踪してから…
お腹にいた小さな命も失いました
もう忘れたいんです」




「そうだったんですか」




「妊娠の事は結婚式が終わったら
言うつもりでした
だけど言えないまま…」




涙が出てきた




「思い出させてすまない」




「大丈夫です」




「樹の子どもはどうしたんですか⁇」




「あの子は私が引き取りました
前の奥さんが浮気した時の子だから
彼の子どもではないと言われ
引き取られなかったんです」




「じゃあ今もあの子と⁇」




「はい!」




「そうですか」




「君は最近入社したんですよね⁇
失礼だけどそれまでは⁇」




「それまでは…
山口コーポレーションで働いていました」




「山口コーポレーション⁇」




「はい…」




「もし気を悪くしなければ
なぜ辞めたのか理由を聞かせてもら
ませんか⁇