ソファでコーヒーを飲んだ



部長が



「聞いていいか⁇」



「はい⁇」



「あの子はお前の子どもか⁇
ずいぶん大きい子どもだから…」



なぜか今の部長には嫌な気持ちがなく



「あの子は…主人の子どもです」



「お前結婚してたのか⁇」



「複雑ですけど…
10年前結婚するはずでした
私は短大を出て保育士だったんです
その時あの子が保育所に通ってたんです
あの子の父親とすぐに親しくなりました
でも半年過ぎて付き合ってる事がバレて
私はすぐに辞めました
そして彼のプロポーズを受けました
私の両親は反対してましたが、彼が説得
してくれて…
彼の前の奥さんは浮気をして離婚したそうです
彼のご両親は子どもを引き取るのに反対を
して彼は家を捨ててあの子を育てていました」



「結婚するはずだったとは⁇」



「うちの両親とあの子と彼で結婚式をする
ということになり、当日式場に向かっていた
のですが…彼は忘れ物があるからと、先に
私と息子だけ式場に行ったんです
だけど彼は来なかった…」



どうしよう涙が出てくる…



「どうして⁇」



「わかりません…
式場には来なかったんです…
ずっと待ってたのに…」



もう涙が止まらない



こんなに話をするなんて…



でも聞いてほしい…



「私はウエディングドレスのまま警察へ
捜索願を出しました
その時私はお腹に小さな命がいました
でもショックで流産しました…」


「辛かったなあ」



とりあえず彼の家族に行方不明という
事を伝えました
その日家に帰ると
テーブルに婚姻届と手紙がありました
結婚式が終わったら3人で出しに行こうと
そしてその時私が大好きだった
カサブランカの花とビターチョコレートが
あったんです
それ以来カサブランカの花を見ると
思い出すので苦しくなるんです
ビターチョコレートも食べられなく
なりました
でもこんなにしてくれた人が
いなくなるなんて…
おかしいと思ったんです
でも調べる術もなくて10年経ちました」



「あ〜あの時飲み過ぎたと…
嘘だったんだ…あの時ビックリしたよ
本当に真っ青で今にも倒れそうだったから
それとあのチョコレート⁇」



「すみません
同じチョコレートだったので…」



「すまなかった…」



「いえ ご好意は嬉しかったです」



その後も部長は話を聞いてくれた



「私は嫁ではないので認めてもらえないの
は分かります…だけど…
桃李は彼の子どもなのに認めてもらえず
前の奥さんが浮気した時の子どもだって…
だから引き取れないと…だから…
私が5歳になる桃李を育てる事に
したんです」



私は過呼吸になりそうなくらい泣いてた