莉緒が和哉から告白をされてから一週間後。
金曜の夜。
翌日は仕事は休みだ。

そんな日に、莉緒は一軒のレストランの前で立ち止まっていた。
店の前で大きく深呼吸をする。

ちゃんと高辻とのことを終わりにすると決めた日から、何度も心の中で練習をしてきた。
もう完全に高辻のことは割り切っていても、これで最後と思うと緊張した。

自然と足が震える。

このレストランの扉を開けたら、そこには高辻がいて、完全に自分たちの関係は終わる。
ふと、高辻の息子の涙が浮かんだ。

ちゃんとしないと。
そんな気持ちとは裏腹に、心が震える。
失敗したらいけないという思いが余計に緊張させた。