莉緒は和哉の書いた付箋をそっと自分の手帳に貼った。


「古屋君、この資料なんだけどグラフ、追加してくれる?客層のグラフ。年代と男女で。」
「はい」
「それから私3時から部長とリサーチ行ってくるから、その間にこっちの資料もお願いしていい?」
「はい」
「明日の会議で使うから今日中にお願い」
「はい」
古屋はデータづくりが得意だった。その分、リサーチはまだ苦手だ。
莉緒は自分のマーケティングし分析した内容も添付して古屋に資料を作ってもらうことが増えていた。

「成長したね」
「マジっすか?」
「敬語」
「すみません。うれしいな。市橋さんに褒められるの。」
「そう?」
「はい。市橋さん、もとから優しいけど仕事に対しては妥協しないっつーか厳しさをかもち出してるじゃないですか。でも最近、なんか話しかけやすいっす。ほめてもくれるし。」