和哉は莉緒の体をそっと抱きしめたまま立ち上がらせると、莉緒の肩を抱いて自分の車の助手席の方へ促した。そして、莉緒を車に乗せると運転席に回り自分も乗り込む。

「部長・・・」
「ん?」
「ありがとうございます。」
小さな声でつぶやく莉緒に、和哉は満面の笑みで微笑んだ。
「どういたしまして。」
和哉は泣き顔の莉緒の方を見ないままハンドルを握り車を走らせた。


しばらくして、莉緒は心地よい揺れに目を覚ました。
「えっ!?」
莉緒が目を開けるといつもよりも景色が違って見えた。
目を覚ましたそこは和哉の背中だった。

「え?おんっおんぶっ!?」
動揺しながら莉緒が言うと「やっと起きたか」と和哉が少し後ろを見た。