……確かに

こーくんを「男の人」として意識したことはなかった

こーくんをそういう意味で意識し出したのは、熱で寝込んだあの時からで

それまではミキちゃんの言う通り
「こーくん」で見てた



「……こんなにどきどきするの、困る……」

「って言われてもねぇ…」


「好きなのに
すごく、好きなのに
こーくんに同じものを返せない」



触れたいって私も思う

だけど

こーくんみたいにキスとかハグとか
自分からこーくんに何かをすることが今の私には難しくて


今は与えられる愛情に対処するので精一杯



「……つむぎは一方的に愛情を貰うのが嫌みたいだけど
キスやハグをし返さないからって
好きじゃないってわけじゃないんだし」


「そもそも
キスとかハグとか無理してするもんじゃないし
つむぎがまだ慣れないならそれでいいじゃん」


「それを伝えて待っててもらえばいいじゃない」


「矢橋君はつむぎ至上主義なんだから
つむぎの言うことならなんだって聞いてくれるよ」