選んだのはすーちゃんじゃなくて


こーくん










しばらく沈黙が続いて




「………手放す気なんてない」



背中に回った手が力強く私を引き寄せる



「つむぎだけは絶対、誰にも渡さない」



それだけは揺るがない、と言わんばかりの強い口調



「…でも」



「つむぎは……俺でいいの?」



一転して、心許ない声



身に覚えのあるその問いかけ

それは、つい最近私がこーくんに向けたもの



『……こーくんは、私でいいの?』



別れたいわけじゃない

離れていって欲しいわけじゃない

相手の気持ちを疑ってるわけでもない


信じてないわけじゃない



例え、嫌だって拒否されても

否定されて、傷付いたとしても


いまさら離れられない


離れるつもりなんてない




ただ不安なだけ



どうしようもなく



好きだから




……こーくんも私と一緒



ただ、不安な気持ちを聞いて



受け止めて欲しいだけなんだ