どれだけ手放したくないと思われる存在なのかって事を



「こーくん、こっち見て」

「…今は無理」

「見て」

「…」



よっぽど見られたくないのか
こーくんは、顔を伏せたまま



「……見てくれなきゃ、すーちゃんのとこ行く」


拗ねるように言えば
勢いよく顔をあげるこーくん

ぱちりと視線が交われば
いたたまれなさそうに目線を逸らす

そんなこーくんのほっぺたを両手でがっしり掴んで

私から目を逸らせないように固定する


そして



こーくんに、触れるだけのキスをする



「…」



驚きながらも、不安そうに揺れてる瞳



真正面から真っ直ぐ見据えて



「こーくんが好き」



描き消すように言葉を紡ぐ



「今、好きなのはこーくんで
これから好きなのもこーくんだけ」



こーくんが不安になるなら



「ずっと好きなのは、こーくんだけ」



何度だって



「こーくんが好き」



この気持ちを伝えるから



「大好き」



だから



「手放さないで」



もう一度
こーくんの唇に自分の唇を重ねて
それからぎゅっと抱き付く



こーくんが言うなら
私の初恋はすーちゃんで間違いないんだろう


だけど



今、好きなのは



好きになったのは



目の前にいるこーくん