「…落ち着いた?」

「うん…」


ごしごしと少し腫れぼったくなった目を擦りながら、小さく頷く



あの後、私とこーくんは学校を早退して
こーくんに手を引かれるまま
こーくんのお家にやってきた


依然としてパニック状態が続いていた私は
なにがなんだか
もう全然分からなくて

半泣きのまま
しばらくこーくんにくっついていた

そんな私を
落ち着くまでずっと抱き締めてくれたこーくん



「……ごめん。怖い思いさせて」

「…なんで、こーくんが謝るの?」


こーくんはずっと申し訳ないような
苦しそうな表情を浮かべてた

今もそう


「…ちゃんと、話しておけば良かった
最初から」



「昴がつむぎを好きだって事」



「こーくん、知ってたの?」

「知ってたよ。昴もそう
昔から、お互いつむぎが好きだって」



……え?


昔からって…


……すーちゃんも、こーくんみたいに
ずっと私の事、好きだったの…?



「怖くて、言えなかったんだ」

「……怖い?」

「それを伝えたら
つむぎが昔の気持ちを思い出すんじゃないかって」

「?私の…昔の気持ち?」


知らされた事実に驚きを隠せない私だったけど、こーくんは更に私が戸惑う言葉を口にした



「つむぎの初恋は昴だったから」