叫んだのと
地面のコンクリートの上にすーちゃんが倒れたのはほぼ同時


ぎゅっと私を抱き寄せて
庇うようにそこに立っていたのは



「………こー…くん…」


にじむ瞳で見上げれば
こーくんは私を安心させるように微笑んだ


「ごめん、遅くなって」

「っ…」


無言でこーくんの胸にしがみつく



「………倖」



かなり強く殴られた様子のすーちゃん
唇の端から血が出てる

手の甲でそれを拭いながら
立ち上がると、すーちゃんはこーくんを鋭い目で睨み付けた



「…つむぎがいるから
これ以上は何もしないけど」



すーちゃんを見返すこーくんの目は
びっくりするくらい落ち着いてる

でも

声は、いつもよりもずっと低くて

湧き上がる怒りを
寸前でぎりぎり抑えつけてるような

威圧感のある
今まで一度も聞いたことのない怒気を含んだ声



「昴」


「つむぎが好きなら
つむぎが嫌がるようなことするな」


「泣かせるようなことするな」



こーくんの言葉に
すーちゃんはぴくりと反応して

こーくんの腕の中で
少し怯えながら、ふたりのやりとりを見ていた私に顔を向ける

すーちゃんと視線がぶつかって
思わず身を固くする私

そんな私を見て
苛立ちと怒りに満ちてたすーちゃんの目に
落ち着きの色が戻って


代わりに、後悔するように表情が歪む