「美玲さんから連絡あって、れおくん家に1人でいると勉強ばっかでご飯全然作らないから、時間あるなら見に行ってあげてって言われたから来たんだ」


「アネキ、オレのこと子供扱いしやがって。オレだって飯くらい作るよ。現に今チャーハン作るつもりでキッチンに立ってたんだし」


「じゃあチャーハンにする?お素麺がいいかなって思って一応買ってきたんだけど」


「素麺か、いいな!茹でるだけだし、体冷やせるし」



結局オレは冷や飯消費よりも素麺を選んだ。


狭い台所に2人が並ぶと益々暑苦しくなるのでオレはリビングで薬味や皿を準備した。


オレの家には風情が全くない。


素麺をきれいに盛るためのガラスの器があるはずもなく、1番涼しく見えるのが、花見で使ったプラスチックのコップにつゆを入れ、白いどんぶりに素麺を盛るスタイルだった。


「ごめんな。綺麗な器無くて。夏音ん家は皿とかめっちゃあるし、使い分けててすげえよな」


「気にしないで。わたしは食べられれば何でもいい人だから」


「そうなのか?」


「そうだよ。だけど、誰かと一緒に食べられるのがいい。れおくんと食べてる時が1番幸せだよ」


「あ、ありがと。つか、こんな暑い時にますます熱くなるようなこと言うな」


「てへへ...」