夏音が家で焼いてきてくれたというスポンジにアネキと2人でデコレーションしたというケーキは店のものに劣らないくらい美味しかった。


苺が上に5個、中にもたっぷり入っていて実にオレ好みだった。


昔からケーキは無難なショートケーキが1番好きだった。


父が生きてて母が元気だった頃は皆の誕生日に母がスポンジから手作りしたケーキが食卓を華やかにしていた。


アネキはタルトが好きで秋生まれだから、ぶどうや洋梨、柿のタルトなんかが毎年登場していた。


オレは飽きたと言われても懲りずにイチゴのショートケーキをお願いしていた。


クリスマスだったらシュトーレンもブッシュ・ド・ノエルも母は作っていたな。


懐かしいな...。


普段過去に戻りたいなんていうヤツじゃないが、今日ばかりはマジで戻りたくなった。


今とは違う幸せがあったあの頃に1度でいいから戻りたい。


オヤジの死もオレがなんとかして防いで、家族4人でもう1度笑い合いたい。


プレゼントなんかいらないから家族との幸せがほしい。


なんてことを考えて少し感傷的になった。