人気の少ないローカル電車。


帰宅ラッシュの1本後で同じ車両には眠そうに欠伸を放つおじさんと塾帰りの少年のみ。


大丈夫。


恥ずかしくなんてない。



「全然嫌じゃない!むしろ、こ、怖いので...よろしくおね、がい...お願いします!」



カミカミだった上に沈黙を突き破る大声を出し、逆に視線を集めてしまった。


そして、隣に座る樋口くんがクスクスと笑う。


は、は、恥ずかしい...。


俯いていると、樋口くんが私の頭にぽんと大きな手のひらを乗せた。



「承知しました、織姫様」