私達は町中を歩き回って色んな場所を巡り、本物のカメラマンとモデルのように微調整しながら何枚も写真を撮った。



「後ろ向いて...そうそう。もっと竹に寄って...。そう、そこ!うん、いい!」



普段誉められない人が誉められると調子に乗ってしまい、モデルモードでカメラの前に立った。


1分間になんグラム掬えるかなんていう流し素麺大会にも参加して、真正面から写真を撮られた。


そして、いつの間にか動画撮影に切り替わっていた。



「動画撮ってどうするの?」


「動画投稿サイトにあげる。心配しないで。朽木さんにはモザイクかけるから」



私だけじゃなく、子供たちも参加していたし、モザイクもかけられるなら大丈夫だろう。


とにかく世の中に自分の醜態を晒されるのが嫌だ。


被害妄想かもしれないけど、アップされた動画を見つけて「ここに映っている高校生は朽木奈和と言って犯罪者です」なんて彼がやりかねないから。


事件が起こったあの日から半年たった今尚許してもらえてないんだから、きっとこのまま許されないで卒業するんだろう。


どうせそうなるなら、もういい。


諦め、開き直るしかないんだ。


わざわざ高等部からここに入った意味がなくなるけど、仕方がない。


嫌われてしまったのだから...。