景斗くんは話してくれなくなった。


無視してくるし、無口で不機嫌で。


わたしのせいだと思うけど、景斗くんに無視されるのは辛い…。


話したい。


そんなこと、言えない。

また違う好きだからって怒られる。


じゃあ、どうすればいいんだろう。


ピンポーン。

「はーい」

「よっ!二葉ちゃん、久しぶり!」

「…蓮くん、瞬くん」

「景斗の様子がおかしいから来ちゃった」

「どうぞどうぞ」

急いで紅茶を出した。

「景斗と喧嘩したの?」

「…うん」

やっぱり苦しい。

わたしはうつむいた。

「あいつ相変わらず余裕ねぇな」

一方的に悪いのはわたしだし。

「景斗はさ、二葉ちゃんのことが好きで好きで仕方ないんだと思うよ」

え?

瞬くんの言葉で顔を上げた。

「大切にしたいし、独占したいから二葉ちゃんを困らせちゃうだけで、本当は喧嘩なんてしたくないと思うよ。
それに、あいつは人一倍不器用だから」

「…はい」

蓮くんが頭を撫でてくれた。

「そー落ち込むな!二葉ちゃんの笑顔見れば、景斗だって機嫌直すよ」

「そうだね」

わたしは笑って見せた。

すると二人は硬直し、顔を見合わせた。

「…景斗が好きになる理由も分かることね?」

「…すごく分かる」

「どうしたんですか?」

「ううん。こっちの話」

瞬くんはいつも通りのお兄ちゃんスマイルをしてくれた。

うわぁ。

やっぱりカッコいい。