車がスピードを落とした事で、前方に向き直った。
こんもりと膨らんだ、淡いピンク色が目に入る。
「すごい…」
思わずポカンとしたまま呟いた。
「すごいね!!まじすごい!!」
美春は更に興奮して、今にも飛び出していきそうな勢いだ。
一見公園のようにも見える場所は、遊具がないので公園ではないようだ。
先客が居るようで、広い駐車場には数台車が停まっているだけだった。
広場を囲むように、大きな桜並木が広がっている。
広場から少し行くだけで海に出れるようだ。よく見ると、少し段差があるようなので、階段か何かを下って行く事は想像できた。
こんなに良い場所なのに、花見を楽しむ人は少ないようだ。
龍雅にしては大したもんだ。
多分女の子を良く連れてきてあげるんだろうけど。