「………まさか」
ポツリと呟いた瑠衣斗は、何故か眉間にシワを寄せていた。
「え？何？」
「いや、何もねえ」
何さ気になるじゃん。
そのまま何も言いそうにないので、瑠衣斗を置いて目的の部屋を目指した。
まあ足の長さがだいぶ違うので、すぐ並ばれるんだけどね。
玄関からすぐ突き当たりで、左へ長く廊下が続いた。
いくつかの部屋の前を通りすぎ、一番奥の部屋の前までやって来ると。
「え～!?ま、まじで!?」
と龍雅の声が廊下に響いた。
他にも声は聞こえたが、何を話しているのかは聞き取れなかった。
瑠衣斗と顔を見合せたが、そのまま視線をドアに戻し、声は気にせずドアノブに手を掛けた。
「おはよ～」
そっとドアを開けて、顔だけを部屋に入れて覗き込んだ。
「お～。もも、おはよう。大丈夫か？」
「慶兄～!!どうしたの？」
そう言って部屋に入り込んだ。
そこには、何故か慶兄の姿があった。
「ももおはよ!!体良くなった？」
俊ちゃんと並んでソファーに座っていた美春が、心配そうに声を掛けてくれ、笑顔で返事をした。
「うん。心配掛けてごめんねぇ」
部屋の中央のテーブルを中心に、全員大集合だ。
慶兄の隣に腰を下ろすと、宗太や俊ちゃんと朝の挨拶を交わした。
龍雅には投げキッスされたが、スルーしておいた。
「無視かよ!!」
と言われたが、更にスルーした。
