「着替えてくる」そう言ってソファーを立った瑠衣斗は、寝室へと入っていった。


私も着替えなきゃ。と思い、昨日来てきたスキニージーンズとアンサンブルのキャミソールを着て、カーディガンを羽織ろうとした。


「あ~!!髪めんどくせえ」

寝室から出てきた瑠衣斗は、少しダボッとしたジーンズと、首元はVネックの白のシャツに、薄手の帽子の着いた柄の入った赤いパーカーを羽織っている。

「ウニ頭は?」

「今から直す。ちょっと待ってて」

そう言って洗面所へ入っていった。


男の人でも、髪の毛大変な人は大変なんだな~。


そう思いながら、鞄から鏡とポーチを取り出し、化粧を始めた。


「できた~。待たせたな」

そう言って出てきた瑠衣斗は、いつもの瑠衣斗の頭だ。

時間にすると15分くらいだろうか。
私の化粧もほぼ終わっていた。


「大変だね。いつもそんな時間かかってたっけ?」


鏡を覗いてハケでチークを頬に差しながら瑠衣斗に聞いた。


「いつもは一分ぐらいでワックスでまとめるぐらい」

そう言いながらソファーに腰掛けると、私のポーチをあさりだした。


「女って大変だな~」

ビューラーを手にとって眺めながら言うと、私に視線を向けた。

「るぅのウニ頭には驚くけどね」

「ももの髪が羨ましい」

「ふわふわして梅雨はまとまらないよ?」

チークをポーチに戻し、ビューラーを瑠衣斗から受け取りポーチへ入れて鞄へしまった。


カーディガンを羽織り、瑠衣斗に借りていたスウェットの上を返す。

「下なかったけどありがと」

「ももがその格好で出てきた時はびびった」


「…るぅが忘れたんでしょ」