リビングへ移り、そのまま二人で洗面台まで来て、歯磨きを並んでシャコシャコした。見上げると、瑠衣斗の顎にまばらに髭が生えている。

洗顔もしてしまい、リビングへ戻った。


瑠衣斗が時々脇腹をさすっていたが、気付かないふりをした。

朝食の前に歯磨きと洗顔は絶対しないと、気持ち悪いしスッキリしたい。


そのままソファーに座り、テレビを付けると朝のニュースがやっていた。まだ朝の8時過ぎだ。

何時に寝たのかハッキリ分からないが、ぐっすり寝れた事には違いない。


背後では瑠衣斗が朝食を作っていて、珈琲の香りが漂ってくる。

ニュースは世の中の事が分かるので、進んで見るようにしている。


家族を無くした時は、さすがにテレビを観る事が億劫になっていた。


大きな事故だったせいか、ニュースでは見慣れた車が、原型をとどめていない姿で何度も見た。


住みにくくなった日常は、風化と共に元の生活へと戻った。