瑠衣斗が動いて、私の頭のてっぺんに顎を乗せた。

「る…るぅ?」

ちょうど瑠衣斗の胸に顔を埋める形になって、声がくぐもってしまう。

同じスウェットを着た瑠衣斗の、力強い鼓動が聞こえた。


「ももさ、そんなに小せえのに、倒れるまで沢山抱え込むなよ」

「…え」

ぐっと腕に力が入り、少し息苦しい。


「俺…ももが…、」

「るぅ…?」

何か言いたそうなのに、言葉に出さない瑠衣斗を不思議に思い、名前を呼んだ。

何かるぅ変…。

そう思った時、後頭部に手を添えられ、そちらに気を取られていると、目の前に瑠衣斗の真剣な顔があった。


自分の心臓が、ありえないくらいドキドキしているのが分かる。全身に血液を送り出しているのが、自分でも良く分かった。

状況が状況だ。今までこんな状況に、瑠衣斗となった事なんてない。


「心配だ。守ってやりてえ。俺が」

「…え」


瑠衣斗の瞳がキラキラ輝いて、その中に動揺した自分の顔が写り込んでいる。


じっと見つめられると、吸い込まれそうになる。顔はめちゃくちゃ整っている訳だから、こんなに見つめられると声を出すことすら億劫だ。


え!?ちょっと…なに!?


戸惑っていると、後頭部に回された手にぐっと力が入った。