「上がった。ありがとう」

扉を開けながら声をかけ、ソファーに近寄った。

瑠衣斗は背中を丸め、ソファーに胡座をかいて、膝に雑誌を置いて読んでいるらしい。


「まだ暖かいよ?」

「うんじゃ入ろ…ぅ…かな」

顔を上げた瑠衣斗が、軽くフリーズした。

「…え?スッピンひどい?何度も見てんぢゃん」

「…へ?あ!?うん、そうだな。入ってくる」

バサッとテーブルに雑誌を置くと、ドタバタと私の横を通りすぎ、騒がしくバタンとバスルームへ入っていった。


「勝手に何か飲んでていいぞ~!!」

ドア越しからそう叫ばれ「分かった~」と答え、ソファーに荷物を置くとキッチンへ入った。

見慣れぬ調味料などが綺麗に並べられたキッチンは、瑠衣斗の性格を表すように綺麗に片付いていた。


冷蔵庫を開けると、ミネラルウォーターが数本入っていたので、一本取るとソファーに戻った。