瑠衣斗との出会いは、高校に入った初めてのクラスで、席が隣だっただけだ。
ただそれだけ。
「…もも?ももって言うの?」
突然声を掛けられ、右隣の席をみると怖い人がいた。
「…は?はあ」
何で名前知ってるんだろう…。
不安になりながらも返事を返した。
「うちの犬も、ももなんだ」
ニコニコと笑って言った瑠衣斗は、八重歯が印象的だった。
「……へえ」
よく言われますが何か?
当時の瑠衣斗は、それはそれはすばらしい程の金髪で、少し長めの髪は傷んでなくて、太くてコシのある髪質らしく、たまに寝癖で爆発して登校していた。今は落ち着いた明るい茶髪だけども。
…ガラ悪かったと思う。
左耳にシルバーのピアスを付けていて、整った意思の強そうな眉は男らしかった。
背も飛び抜けて高かったので、入学初日からとても目立っていた。
そんな瑠衣斗は、超が付く程の田舎っ子だった事を知ったのは、初めてのクラスでの自己紹介で知った。