後ろでは瑠衣斗が料理をする気配が伝わってくる。
少し気になりながらも、私は目の前の雑誌に没頭する事にした。
どんなに理解しようとしても、やっぱり専門用語的な単語は、どう理解しようとしてもさっぱり分からなかった。
車のMTすら運転の仕方も分からないのに、単車なんて分かるはずもない。
カッコいいとは思う。カッコいいとは。
街中で単車を見掛けると、つい目で追うようにもなった。
でも、身長の低い自分の事が頭に浮かんで、憂鬱になる。
お母さん…何でそんなにチビだったの。
父は対照的に、背のスラリと高い人だった。当時、中学に上がったばかりの弟ですら、ぐいぐいと成長していた。
あの時ですでに私を見下ろしてたっけ。
これからまだまだ成長したであろう弟を思い出し、胸が詰まった。
まだまだ楽しい事が待っていただろう。そう思うと、早すぎた弟の死を、私が変わってやるべきだったんだと思うようになった。