もんもんと不安要素を並べていた私を、軽々と抱えてしまい、予想外の出来事に慌てて慶兄にしがみついた。


「お姫様抱っこ〜♪」


「ちょ、ちょっとけぇにぃ〜」


明るい所はいやー!!


そんな私の抵抗虚しく、リビングの手前で私が必死で拒絶していた理由がバレてしまう。


「ぶっ…はははは、で、でけぇ!!」


「…へ?……あーーっ!!いやあぁ〜!!!!」



思わず慶兄にしがみついたまま、額を隠していなかった。


しまった〜〜〜!!私のバカ〜〜〜!!!


笑いながらもリビングへと抱えられ、ソファーに下ろされた。


「くっ…しゃ、写メ撮りてえっ…」


「もーっ!!バカーー!!!!」



さっきまでの雰囲気と、ありえない出来事にパニック寸前になりそうだ。


もぉヤダヤダヤダヤダ!!恥ずかしいよぉ〜…



「大丈夫か?」


「うん〜…大丈夫…」



頬に手を添えて、優しく額を触る慶兄は、目を細めて私を見つめている。


「固いから大丈夫だな。冷やしとけば治る」


「うん…」



頬に手を添えたまま、スッと顔を近付ける慶兄を目を見開いて見つめた。


「ふ!?」



何だろう?と思って見上げていたら、慶兄の唇が額に触れた。


「治療」


「ち…治療…」



顔がカァッと熱くなり、瞬きを繰り返して慶兄を見つめた。


薄い色素の瞳が、優しく私を見つめている。