ようやくむくりと起き上がり、慶兄はジャケットを無造作に脱ぎ捨て、慌ててそれを拾い上げた。
「せっかく脱いでもこれじゃあシワになっちゃうよ?」
「…うん」
「コレ、クローゼットでいい?クローゼットどこ?」
しょうがないなあ。と思いつつ、ジャケット畳んで抱えながら辺りを見渡した。
寝室…?あ、確かウォークインクローゼットもあったんだっけ?
ふと慶兄を見ると、いつの間にか前をはだけさせた慶兄が目に入り、慌てて後ろを向いた。
乱れた髪の間から、眠そうな瞳が少し潤って覗き、薄い唇は赤い。はだけた肌は、滑らかそうで、意外にもがっちりしていた。
「寝室…」
「く、くろっクローゼットに掛けてくるっ」
ギャー!!!!は、恥ずかしい〜〜!!!!
慌てて寝室へと駆け込み、うるさい心臓に目眩がしそうだ。
な、何であんなに色気があんの!?てゆーか、るぅも慶兄も素なの!?兄弟揃って!?あれが寝ぼけてんの!?
……どうしよ。恥ずかしすぎて帰りたい。
落ち着かない心臓を止める事もできず、とりあえずジャケットをクローゼットに納めようと、ベッドを避けてクローゼットを開けた。
この間の出来事が走馬灯のように頭をかすめ、思わずクローゼットの扉に頭をぶつけたい衝動に駆られる。
もぉぉ〜…何今思い出してんのよぉ。
逃げてしたいたいと思った所で、慶兄は疲れてるしすぐ寝ちゃうだろう。と思い、気分を落ち着けようとハンガーに手を掛けた。