「お疲れさま〜」
「――うん、…ありがとう…」
家まで迎えに来てくれた慶兄の車に乗り込み、第一声に労いの言葉を掛けた。
ハンドルに両腕を組むようにしてもたれ、頭を預けたまま顔を私に向ける慶兄は、疲れの色が濃く顔に現れている。
「だ…だいじょぶ……?」
「…うん」
大丈夫…じゃないんだな。慶兄が『うん』とか似合わない。てゆーかあんまり聞かないし。
むくっと体を起こし、気怠そうにハンドルを握りながらシフトをドライブに入れた。
「飯は?食ったか?」
「ん?あ、うん大丈夫だよ」
あれから、宗太の家に戻り、なんだかんだで時間を潰していたら、何故か宅配ピザが届いた。
『腹減ったからネットで頼んだ』
何だかやたら真剣に携帯をいじる瑠衣斗を不思議に思いながら、宗太とうるさい龍雅を交え、美春と俊ちゃんの結婚式の相談をしていた。
「そうか…俺も向こうで済ませてきたからちょうど良かった」
「そうなんだ?あ、慶兄の病院コンビニみたいなのあるもんね」
慶兄の勤める病院は、ここら辺じゃ、一番広くて一番綺麗な病院だし、施設だってバッチリ整っている。
「それがな〜、無性にピザが食いたくなって他の先生と頼んで食ったんだ。たま〜に高カロリーなモノが食いたくなる」
「…さすが……兄弟」
「ん?」
「ううん、何でもない」
面白い展開に、笑いを噛み締めた。