「かっ…可愛い……」
目の前の建物は、薄い茶色のレンガ作りの小屋のようで、色とりどりの鮮やかな花が沢山飾られている。
「お〜、やるなあ〜るぅ」
そう言って満足そうにお店を見つめる宗太は、軽く瑠衣斗の肩を叩いた。
「結構大変だったんだぞ」
そう言いながらも、瑠衣斗もニコニコと笑っている。
木でできた木目調の看板の文字も、可愛らしいものだ。
「happily…」
――…幸せに……―――。
「うおー!!俺結婚してえ!!」
「…お店見ただけでそれだと当日大変だね」
やたらと興奮する龍雅に、呆れてそんな言葉が漏れる。
「名前もいいな〜と思って。レビューもかなり高かったからさ。とりあえず下見だ。入ろうぜ」
瑠衣斗に続き、店内へと足を踏み入れた。
ほのかな花の香りが漂う店内は、窓からいっぱいに光が注ぎ込み、意外にも広々としていて中庭まであり、床は木が張り巡らせてあり、歩くとギシギシと鳴く。
レトロな雰囲気と、メルヘンな雰囲気を取り混ぜたような店内は、料理を楽しむ人やカフェをする人で賑わっていた。
「いらっしゃいませ。四名様ですか?」
声を掛けてきた店員は、清潔感があって笑顔も爽やかな、団子頭にした女性だ。
「あ、電話した松風です」
「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
通された席は、中庭を一望できる明るい席だった。
何人か店員も揃っていて、みんな笑顔で挨拶をする様子が好印象だ。
店内もきちんと清掃されていて、好感が持てた。