「ねえ、どこ向かってんの?」
「るぅがいろいろ調べでくれてなあ、貸し切りでパーティーとかブライダルができる場所があるんだってよ。ホテルとかのラウンジとかも考えたんだけどさ、絶対高いだろうからなあ」
確かに、学生の私達だけで結婚式をやるなんて、金銭的にも余裕がなくなるだろう。
やるならとことんやりたいし、金銭的な事で断念するモノが出るのも嫌だ。
「私ウエディングドレス作ろうかな〜?」
「できんの?手先は器用だけどよお」
軽く眉を寄せて、からかうように言う宗太に思わずむくれてしまう。
「家庭科でワンピと浴衣作った事ありますぅ。家にミシンもあるし」
「すげっ。やるなぁもも」
ツンと答えた私に対して、大きな目を更に大きくした宗太が、驚いて私に目を向けた。
「んじゃ〜ももに任せるか。まあぶっちゃけ、ドレスが一番の問題だったんだよな」
「任せなさい。張り切っちゃうよ」
しばらく歩くと、裏道に逸れ、駅前の近くとは思えない程静かで落ち着いた雰囲気だった。
ちょこちょこと可愛らしいお店や、小綺麗な建物が軒並みにあり、その中の一軒のお店の前で足を止めた。