『来てくれないか?』
「えっ…あの、えと…」
それって…お泊まり?だよね?
無駄に意識してしまい、胸がドキドキと鼓動している。
冷や汗なのか脂汗なのかよく分からないモノが、吹き出しそうな感じだ。
『嫌か?』
「えっ!?い、嫌…じゃ…ない」
嫌とかではなくて、ただ単に想像が豊かなだけだから!!なんて恥ずかしすぎて言えない。
『じゃ、決定な。迎えに行こうか?それか…るぅに送ってもらうか?』
「えっ!?あ…うん、迎えに来て」
るぅに送ってもらうなんて…恥ずかしくて死ねるよ………。
『じゃあ…6時ぐらいでもいいか?』
腕時計は、まだ時間までは十分な時刻を示している。
「うん、分かった。6時ね」
顔が赤い気がして、軽く俯いて声を潜めた。
ダメだ……免疫なさすぎっ。
『じゃあ…待ってろな?』
優しい慶兄の声に、頭がクラクラする。
あれだけの顔を見ているもんだから、直で聞こえてくる声だけでドキドキと意識してしまう。
「は、はい…」
『じゃ、仕事戻るな?またな』
そう言って切られた電話は、機械音を響かせて会話の終了を知らせている。
「あっちいなぁオイ!!見せ付けんなよなぁ!!!!」
「み、見せ付けっ!?んなっ…」