「…るぅだ」


「るぅ?」



ポツリと呟く宗太の言った意味が分からず、龍雅の隣に座っている宗太を見上げた。


廊下からバタバタと足音が聞こえ始めたと思ったら、勢い良く扉が開かれた。



「寝過ぎた〜!!おはよう」


「お〜今日も一段と爆発してんなぁ」


「おい〜寝過ぎだろ〜がぁ!!腹減ったじゃねえか!!」



目に入った瑠衣斗は、台風でも来たんじゃないかと思う程、髪が爆発している。


最近はあまり見なくなったが、高校生の頃はしょっちゅうだった。


「お昼おごりだよ」


「まじかよ…」



私の言葉に、瑠衣斗はげんなりしながら私の隣に腰を下ろした。


瑠衣斗の甘く爽やかな香りが、鼻先をかすめ、胸がグッと詰まるようだった。



「るぅ頭すげえぞ?ももにやってもらえよ」


「宗太のおじさん居るからおじさんにしてもらってよ」



宗太の言葉に、何故か恥ずかしくなり、隠すようにさり気なく断ってしまった。



「いいじゃねえかよ〜。いつもしてくれんじゃん」



確かに、いつの間にか瑠衣斗の髪を治してあげるのが、私の役目になっていた。



別に今更だけども…誰でもいいんじゃないのかな?



と思ったが、何故か言うことができなかった。