「や〜っと解放されたぜ〜…お、ももおはよ」



扉を大きく開けて顔を覗かせた宗太に、思わずビクッと反応してしまい、慌てて笑顔を作った。


「お、おはよ!!おじさん?」


「あぁ…あのおっさん元気すぎんだよ」



そう言ってふわふわの髪に手を入れて、グシャグシャとかき混ぜた。


ボリュームがあるもんだから、余計に空気を取り込んでブロッコリーのようだ。



「まだるぅ来てないのか?珍しいなあ、ももと来てないなんて」



龍雅と同じ事を言われ、再び胸がグッと鷲掴みされたように縮まった。


普段、普通だった事が、龍雅の言葉によってやけに意識してしまう。


言われてみれば、大学の同じ瑠衣斗とはしょっちゅう2人で宗太の家に訪れていた。


でもそれは、大学が同じだからと言う理由なだけで、深い意味なんてなかった。



「どーせまた寝てんだろ〜?あいつはガキみてぇに寝るからな〜」


「だからあんなけでかいのかあ」



龍雅の態度が気になり、口を開ける事も億劫だ。

自分一人だけが気まずくて、会話に口を出すこともできない。


「あ、そう言えば慶兄と付き合ってんだって?」


「……えっ!?な、あ、あぁ…」


宗太の声に、過剰反応してしまい、冷や汗が吹き出すようだ。


「そう言えばるぅ、何か様子おかしかったなぁ」


「思春期だ思春期」



…るぅの様子がおかしかった?

何かあったのかな?



私の考えを余所に、2人は煙草に火を付けて一服している。



ダメダメ。考えちゃダメ。

そう決めたんだから……。