「おはよー……あれ、一人?」

「はよー!!俺一人じゃわりぃか!!」



宗太の家に着くと、いつも通りガランとした玄関から上がり、いつもの部屋のドアを開けた。

「慶兄と付き合う事なったんだってえ~?どーよ!!」


「どーよって…別にそんな……」



龍雅がソファーに両腕を広げ、煙草を片手に持ちながらニヤニヤと私に視線を向けていた。


「そうかぁ!!ついにヴァージン卒業かあ……」


「ちょっ!?止めてよ変態!!」

「いでーっ!!!!」



顔がかぁっと熱くなるのが分かり、龍雅の頭をベシッと叩いてやった。


「そんなんじゃないから!!もうみんなの前で変な事言わないでよっ」


「んだよ~!!つまんねぇなあ」


ジロリと睨み付けてやると、龍雅にベーッと舌を出された。


「宗太は?」


「ん?親父ん所居る~」


「そっか」



プハーと煙草を吸う龍雅の近くの、ふわふわの絨毯のひかれた床に腰を下ろし、鞄から煙草を取り出した。


「体は大丈夫か?」



ポツリと聞こえてきた声に、加えた煙草に火を付けようとした手を止め、龍雅に視線を移した。


片足を立てて座る様は、やけに態度がでかく見えるが、整った顔立ちとバランスの良い長い手足に、やっぱり黙ってれば絶対モテるのに……残念だね。なんて思ってしまう。


「元気。前はありがとね」


「あ~…気にすんなって」


「うん。気にしない」


「…気にして」



そう言えば、泣いてる所見られたんだっけ…。



何か言われると思っていたが、何も言わない龍雅にホッとした。


龍雅は、以外と人が触れられたくない部分はきちんと分かっているようで、そう言った部分は昔からすごいと思う。