見慣れた道を通い、見慣れた建物が目の前に迫ってきた。
「あ、ここでいいです」
瑠衣斗がそう言うと、タクシーは路肩に寄せ、ハザードをたいて停止した。
ん?ここるぅのマンションだけど…。
頭の中が?で一杯になっている私を「ほれ降りろ」と言って、支払いを済ませた瑠衣斗に降ろされた。
訳が分からず突っ立っている私の顔を覗き込んで、不思議そうに「どうした?酔った?」と聞かれた。
「大丈夫」
「ん、ぢゃ行くぞ」
そう言って私の肩から鞄を取ると、スタスタとマンションへ向かって歩き出した。
るぅの家でご飯?それとも着替えたいのかなぁ?
なんて考えながら瑠衣斗の後を追った。
広いエントランスを抜けて、セキュリティの解除を行っている瑠衣斗を他って、どうせ見ないだろうと思い、郵便受けを覗いて、瑠衣斗に郵便物を持たせてエレベーターを目指した。