「あの人さあ…夏希?どーゆう関係?」
「どーって…」
夏希に拾われました~なんて言っても意味が分からないだろうし、ちょっと特殊な関係には違いない。
「え…友達?」
疑問符が付いてしまったが、言葉で表すとこんな感じかもしれない。
友達と言えば友達に代わりないのだろうけど、まだ知り合って日の浅い内に、友達と呼べる程打ち解けている訳でもない気がする。
「ふうん…今度お礼しなきゃなあ」
「そ…だね」
何か探るような言い方に、思わずどもってしまった。
確かに、ラブホまで行ったけども!!何もないしね。
そうこう考えている内に、瑠衣斗の単車の目の前までやって来てしまった。
「慶兄、病院に電話して確認したら、急患が出たらしい。今日は帰るのも難しいだろうな」
「そうだったんだ…大変だね」
瑠衣斗は単車からヘルメットを取りだし、そのまま私の頭に屈んでヘルメットを付けてくれた。
「まあ…それを仕事に選んだのは本人だけど…」
単車に跨がりながらそう話す瑠衣斗の肩に手を付いて、いそいそとバランスを崩しながら後ろに跨がった。
「大丈夫か?」
「ん?うん、大丈夫だよ」
「何だかんだ忙しい人間だから…寂しくねえの?」
「え?」
瑠衣斗の言葉に、思わず思考が停止したようだった。
私…寂しくないの?
慶兄に会えなくて、何とも思わないの?
返事もできない私に、瑠衣斗はそれ以上何も言わずにエンジンを掛けた。
お腹に響く音が、胸を締め付けるようだった。