「はあ…どっからあんな人間が湧いて出てくんだあ?」
「すごいねえ。色んな人が居るんだね」
繁華街の通りを抜けると、広い通りまで直ぐに出る事ができ、人も疎らになった。
繁華街全体が、平日にもかかわらず何かのお祭りのような混雑ぶりだった。
「俺は都会人にはならねぇ…」
「…都会人だからってここに来る訳でもないでしょ」
「……嫌」
「……強制してないから」
本気で嫌そうに言う瑠衣斗は、見た目だけなら十分都会人なんだけど。
なんて言わないけど。
「ねえ、何で来たの?」
「ん?相棒」
そう言って指を指した先に視線を巡らすと、瑠衣斗の大きな単車が目に入った。
「お礼にガソリン満タンにしちゃうよ」
「まじ?車でも?」
パアッと表情を明るくした瑠衣斗に、私は笑顔で切り捨ててやった。
「やっぱり学食おごってあげるね」
「…ち」
こう言う関係が、私と瑠衣斗には丁度良い。
不安定になってしまった気持ちも、しっかりと立て直っている。
夏希と純平のお陰だな……。
ひょんなきっかけで瑠衣斗と会う事になってしまったけれど、ある意味良いキッカケにもなった気がする。
夏希にもお礼しなきゃな。多分、あの人はるぅと違って遠慮する気もするけど。