「うっ?!す、すいませ…」


体に圧力が加わり、息がつまる。


思わず、勢い良くぶつかられてしまったと思い顔を上げようとしたが、ふと鼻を掠める香りに動きを止めた。



「もも~…おせえよ……」


「え!?るぅ!?何でっ」



ぐーっと抱き締めた瑠衣斗は、前屈みになるようにして体を折り、おかげで背中がエビ反りして痛いし、息もまともにできない。


「ダメだ…やっぱり田舎が一番だ……」


「ぐっ…背中…っおれっ…」


「あ、わりぃ」


すっと体勢を立て直してくれたおかげで、やっとまともに息もできた。



「…熱いねえ。若いねえ」



ハッとして声のした方へ視線を巡らすと、やっぱり人が周りには居ない夏希がニヤニヤと笑って立っていた。


「あー!!どこ行ってたの!!」


「それはこっちのセリフじゃろうに」



怪訝な顔をして、パンツに両手を入れて立っている夏希は、繁華街の明るい照明を背後から浴び、何だか大人の色気が漂っていた。


「どーも、夏希です。君は……るぅ?とかももが言ってたけど」