胸がグッと反応し、一瞬出るのを躊躇った。


さっき、瑠衣斗は怒っているような口振りだったし、心配を掛けたには違いない。


「出たくねえの?」



夏希が首を傾げるようにして私に目を向け、純平もキョトンと私を見ている。


「あ、う、ううん。迎えに来たんだと思う…」



パッと携帯に視線を移して、慌てて通話ボタンを押した。


「…もしもし?」


『おう、着いた』



電話からは、ガヤガヤと人の声が溢れてきた。



どうしよ…ここまで迎えに来るのかな?



そう不安になってきた所で、瑠衣斗が先に口を開いた。


「着いたけど…自分がどこに居るのかも分からん」


「…あぁ、そう」



ホッと胸を撫で下ろした所で、実際自分も繁華街なんて詳しくないという事を思い出した。


大変だ……るぅが迷子だ。



「待って!!動かないで!!」


「どした?」



慌てだした私を心配して、夏希が私に向かって声を掛けた。


「る…!!迎えに来てくれた人が…迷子になっちゃった」


「ぶっ」



豪快に吹き出した純平を合図に、夏希まで笑い出してしまった。


「ちょっと…笑わないでよ。私も詳しくないからどうすれば…」


「ぐっ…い、いいよ。俺…案内するから、電話変わって」



笑いを堪えて言う夏希に、眉を寄せながらも頼らない訳にはいかないので、携帯を手渡した。


純平は尚も笑っていたが、私も瑠衣斗の事を言えないので、何だか笑われている事が恥ずかしくなって顔が熱くなってきた。



「んんっ……もしもし?」