電源を何となく入れる事ができず、真っ暗な画面をただ眺めていた。


「…もも?どーした?」



なかなか電源を入れないまま、真っ暗な画面を眺めていた私を不審に思ったらしい夏希が、眉を寄せて不思議そうに私を覗き込んでいた。


「えっ?あ、ううん別に」



そうは言ったものの、電源を入れる事ができない。


胸が何だか苦しくて、モヤモヤする。


全身が緊張したように、痺れるようだ。



このまま時間を掛けてもダメだ。

そう思い、思い切って電源を押した。




「…………」


画面に表示されたモノに、息が詰まる。


沢山の不在着信は、全て瑠衣斗からだった。



しばらくすると、メールの受信画面に変わり、上ずる呼吸のままメールを開いた。



“今どこだ?頼むから連絡してくれ”



なん…で?帰るって言ったじゃん。


心配して家まで来てくれたんだろうか。



そう思ったが、何とも言えないモヤモヤした感覚に、そのまま画面を見つめるしかできなかった。