触れられた場所から、熱を帯びるように熱くなる。
頬に触れる瑠衣斗の手は、どこまでも優しく暖かい。
私は、慶兄と付き合っていこうと決めたのに、瑠衣斗ばかりを見ている。
私なんか、慶兄には不釣り合いだよ。
こうして、瑠衣斗のキスを許してしまった。
最低な女なのかもしれない。
「るぅ…私、慶兄と付き合ってるんだよ?」
「…知ってる」
そっと目を伏せて逸らし、思い切って瑠衣斗に疑問を投げつける。
「だから…その……何で…」
キスなんかしたの…?
分かってるのに、何でキスなんてしたの?
想う事をやめようと決めたのに、こうして瑠衣斗によって胸を熱くさせられる。
やっぱりただの思わせ振り?気まぐれ…?
「……今は、何も言えない」
動揺する私を、たしなめるかのように優しく吐き出された言葉に、少しの絶望にも似た諦めが生まれ、何だかイライラする。
「意味分かんないよ…」