意味が分からず、触れられた唇が痺れるようで、身動きすら取れない。


「なん…で……」



まだ間近にある瑠衣斗の顔から目が離せず、困惑してしまう。


私は、慶兄と付き合ってるんだよ……?

何で…キスなんかしたの?


「分かんね?分かんねえなら分かんねえままでいい。今は…、」


「意味分かんないよ…何で…」


顔が熱いのに、指先は酷く冷たい。


なんで…こうなるの?



「そのうち…教えてやるよ」


「そのうち?」



瑠衣斗の考えてる事が分からない。仮にも、私には付き合っている人がいる。


そしてその相手は、瑠衣斗の兄弟でもある。



そう思うのに、胸がドキドキと意思に反して高鳴る度に、慶兄への罪悪感が積もるようだ。



私…どうすればいいの?



「るぅ…意味分かんない」


「今は分かんくていい」



そう言って私の頬に優しく触れると、唇を少し持ち上げて微笑んだ。



胸に棘が刺さったようにチクチクするのは、瑠衣斗が悲しそうに笑っているからだろうか。



何でそんな風に笑うの…?




「…分かんないよ」