瑠衣斗の顔が見れない。
悪気は全くないのは分かるが、このタイミングと、私の反応で楽しんでいるような美春に、実は意図的にやってんじゃないのぉ!?と思えてしまう。
「みーちゃ…ぁのぉ…」
『もぉ~てっきり慶兄ったら内緒とか言うから、もうしたんだと思ってたよォ~!!』
マシンガンのように止まらない美春節に、たじたじになりながらも言葉を探した。
「ぁ…ぅ…そ、そうですか」
私が声をどんなに潜めても、美春の声は当然丸聞こえだ。
『ねえ、今日こそやっちゃう?ねえ、ねえ、お泊まり?』
「ちょっ…と美春…さんその、ね?おじさんみたいだからね?」
もう、るぅの顔なんて絶対見れない。
どうしよ!!今更席を外すのも変じゃない!?あぁどうしよ!!
『え~?なになに?聞こえないよぉ~?』
「あ、じゃあまた電話する!!うん、うん、そうだそうしよう」
『あ!!ちょっともも逃げん…――』
「…………」
一方的に通話を終了させ、携帯を畳んで握り締めた。
「…………」
「…………」
何でこんなに気まずい雰囲気なの!?
ねぇ!!ちょっと!!誰か!!誰か……!!
「え~っと、…もも?」
「……何も言うな何も聞きたくない」
てか、普通に話掛けてくれない!?何でそんな遠慮がちなの!!