「……僕、ビックリだよ…」
うん、そうだね。
私はジュリの驚き方にビックリだよ。
「あはは…はは……」
苦笑いするしかなく、それ以上は何も言えなかった。
しばらくすると、講義も始まり、やっとジュリから解放されホッと息を吐く。
ジュリとのやりとりは、何だかドッと疲れてしまう。
隣を見ると、やっぱり瑠衣斗は寝たままでピクリとも動かない。
爆睡だよ…。当分起きないな。
そんな事を思いながら、シャーペンを握り直して前を向き直った。
「……もも…――」
…もも?……私…だよね。
ポツリと掠れた声が、小さく私の名前を呼んだ気がして瑠衣斗を見下ろした。
瑠衣斗を見ると、そのままの体勢で瑠衣斗はまだ寝ている。
寝言…?
そっと被せていたキャップを取ると、薄く唇を開けてまだ眠っている。
頬が薄くピンク色に染まっていて、瑠衣斗の幼さの残った寝顔に、思わずみとれてしまった。
…かっ…かわいい……。
滑らかそうな素肌に、思わず触れてみたくなる衝動に駆られ、胸が苦しい程切なく疼く。
私…こんなんで本当にいいのかな。
慶兄は辛くないのかな……。