「ナ…いや、違くてっ!!コレは~その~…」
キスマークに気付いたのは、大学に着いた時だったし、瑠衣斗の出現で完璧に吹っ飛んでいた。
「…?違う?」
不思議そうな顔をするジュリは、そんな顔まで天使みたいだ。
なんて呑気に考えている場合じゃなかった。
「その…ただ付けられただけで何もなくて…あ!!るぅじゃなくて……」
「ふうん…?」
彼氏…と言う単語が抜けてしまった。
「僕も付けたいな…みんなには見えない場所だけど」
すっかりいつもの調子を取り戻したジュリに、苦笑いしかできなかった。
「か…彼氏……できて…」
ニコニコ笑ったまま、ジュリがそのまま固まってしまい、瞬きを繰り返してジュリを見つめた。
「………えーーーっ!?」
ガバッとジュリが立ち上がり、物凄い驚いた顔で私を見ている。
周りの学生が、好奇の目で私達を遠慮がちに伺っていた。
「ちょっ…!!しーっ!!」
慌ててジュリの服を掴んで、椅子に座らせたが、ジュリは驚いた顔をしたままだ。
「な…ナイト…じゃなくて?」
「う、うん」
そんなに驚かなくても……。
私はジュリの反応に驚いたよ。
「誰っ!!」
「んえっ?え~…ジュリの会った事ない人だよ」
何となく、口にしずらくて瑠衣斗に目を向けた。
私の被せたキャップがズレてしまったようで、可愛らしい寝顔は、見えなかった。